ドクター山見 公式ウェブサイト:ダイビング医学・潜水医学 diving medicine ダイバー検診  
    ダイバー検診
ダイビング中に起こる身体トラブルを予防するために行う検診をダイバー検診といいます。
ダイビングで問題になる病気や体質を見つけるための検診です。
一般の健康診断(健診)とは一部、項目と評価方法が異なります。
一般の健診だけではダイビングで起こる体のトラブルを十分減らすことはできません。ダイビング事故をほんとうに防ぎたいのであれば、水中で起こる病気に焦点を当てたダイバー検診を受ける必要があります。
これまでダイビングのために健診を受けられてきたつもりのダイバーも、一度、検査項目を見直され、検診結果の報告が意味のあるものであったかを検討されることをお薦めします。
ダイバー検診は、一般健診と同時に行ったり、会社の健診結果が出てから足りない項目をダイバー検診として行うこともあります。

    ダイバー検診の目的
 
ダイバー検診を受ける目的は、ダイビングの可・不可を判定することではありません。
病気になる前に異常を見つけ予防すること、もし病気や危険な体質が見つかったら、専門医からどうすれば安全にダイビングができるかの説明を受けることにあります。

    ダイバー検診はなぜ必要か
 
ダイブコンピュータが普及し、ダイバーはルールを守って潜っていますが減圧症は発生しています。潜水中の死亡事故や潜水障害の頻度も減る傾向がありません。理由は、潜水中の死亡事故の原因の半数近くが病気(障害)であるにもかかわらず、本人が知らずに潜っているからです。

    死亡事故
  水中で起こる病気による死亡事故の多くは心臓、肺、脳のトラブルです。特に動脈硬化も強く関係していることがわかってきました。溺水を起こすような発作的な病気や動脈硬化を見つけ予防することがダイビング事故を予防する上でとても重要です。 
    減圧症
  現在、多くのダイバーがダイブコンピュータを持って潜っていますが、依然、減圧症が発症しています。ほとんどのダイブコンピュータは数学的なアルゴリズムだけで減圧時間を割り出しているため防ぎ切れないのです。ダイバーは生身の体ですから、誘因になる生理的な体質を考慮しなければ減圧症を十分予防することができません。 
    耳
  耳はダイビングでもっともトラブルを起こしやすい部位です。ダイバー検診では、鼻をつまんで耳抜き(バルサルバ法)をしたときの鼻腔内圧を測定します。自分の耳の抜けやすさを数値(圧力値)で知り、抜けが悪い場合は治療(耳抜き訓練)をして抜けやすくする必要があります。耳が抜けやすくなったダイバーはダイビングで耳を傷める率が激減します。 
    肺
  年齢とともに呼吸機能は低下します。特にタバコを吸っているダイバーはその傾向が顕著です。呼吸機能が低下すると肺の気圧外傷(いわゆる肺破裂)を起こしやすくなります。呼吸機能はスパイログラムなどで調べることができます。 
    心臓
  ダイビング死亡事故の30%以上が心臓病によるものです。年齢とともに心臓病を発症するダイバーが増え、死亡事故も多くは中高齢者です。37歳以上のダイバーと、心臓病で亡くなった血縁者がいるダイバーは心臓の検査は重要です。 
    生活習慣病
  肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病があるダイバーは、ダイビング事故と減圧症発症のリスクが上がります。これらの病気を治療しながらダイビングをする場合は危険性が高いため必ずダイビング医学に知識のある医師からアドバイスを受ける必要があります。 
    骨壊死
  ダイバーには減圧性骨壊死という骨が腐る病気が発生することがあります。水深30m以上に潜り浮上速度が速かったダイビングをきっかけに発症する傾向があります。症状は緩やかに起るため、ほとんどは症状が出る前に検診で見つけられます。レントゲン写真には写らないことが多いので、MRIを撮る必要があります。
   

ダイバー検診と一般健診の違い
Copyright(c)2007-2010 Diving Medicine -Nobuo Yamami-.All Rights Reserved