ドクター山見 公式ウェブサイト:ダイビング医学・潜水医学 diving medicine 減圧症(decompression sickness)  
    予後(治療後の経過)
 回復のしかたは、重症度によってさまざまです。
軽い減圧症であれば、1回の高気圧酸素治療で完治しますが、重症ですと10回治療しても症状が取れないこともあります。


    後遺症
 後遺症の検査
 高気圧酸素治療を受けてもまったくよくならなかった、または改善はしたが完全ではなかったというときは別の病気があるかもしれません。症状が残存した場合は検査が必要です。
高気圧酸素治療を受けた後、月日が経つにつれて、今ある症状が減圧症の後遺症なのか、あるいはまったく関係ない病気の症状(たとえば昔からある腰痛や肩こり、関節痛などの古傷など)なのかを鑑別することが難しくなります。これらを判断するには、診察だけでなく画像検査や血液検査などが必要となります。

 後遺症の治療
 高気圧酸素治療を何度か受けると徐々に効果が少なくなってきます。効果がなくなる前に症状がすべて消失すればよいのですが、後遺症が残った場合は、内服治療を行います。主に神経障害と循環障害の改善を目的とした治療薬を使用します。痛みやしびれが強い場合は、消炎鎮痛剤や神経ブロックなどを併用することがあります。

  後遺症残率
 重症度によりますが、下半身に重度の麻痺(歩けないなど)が生じたような減圧症では、速やかに治療しないと回復は厳しいといえます。
症状 治療開始時期 治療後3ヵ月目の
自覚症状残存率
上下肢に軽いしびれ感があり、診察上、
神経学的に異常所見がない方の場合
1週間以内 日常気になる自覚症状が
残っている率は低い
上下肢に軽いしびれ感があり、診察上、
神経学的な異常所見がない方の場合
1週間以上
経過した後
約20%
上下肢に軽いしびれ感があり、診察上、
片側上下肢に神経学的な異常所見がある方の場合
1週間以内 約20%
上下肢に軽いしびれ感があり、診察上、
片側上下肢に神経学的な異常所見がある方の場合
1週間以上
経過した後
約80%


    ダイビング復帰について(減圧症罹患後のダイビング開始時期)
 神経症状を伴わない減圧症では、他覚所見(診察所見)と自覚症状が完全に改善したあと3ヶ月以上経ってからダイビングを始めましょう。神経症状を伴う減圧症では、他覚所見(診察所見)と自覚症状が完全に改善してから6ヶ月以上経ってから始めましょう。ダイビング再開を早めると再発率が高くなります。
   

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