ドクター山見 公式ウェブサイト:ダイビング医学・潜水医学 diving medicine 潜水障害(diving injury)  
    減圧症の予防
減圧症の予防には、以下のものがあります。ダイビング前の予防、ダイビング中の予防、ダイビング終了後の予防に分かれます。

減圧症を予防すると考えられる因子
以下の項目は、減圧症発症にブレーキとして作用します。該当するものにチェック。
 【 ダイビング前 】
メディカルチェック これまでにダイビングのためのメディカルチェックを受けたことがあればチェック
潜水前水分補給 減圧症予防を意識してダイビング前に水分補給(400ml以上)していればチェック
 【 ダイビング中 】
コンピュータ ダイビングコンピュータを持参したダイビングで指示を守っていればチェック
テーブル ダイビングテーブルを引いていて守っていればチェック
ナイトロックス ナイトロックスボンベを用い、正しく使用していればチェック
安全停止 3分以上 安全停止を 3分以上していればチェック
(一連のダイビングで1回でもしていないダイビングがあればチェックなし)
 【 ダイビング後 】
水面休息 ダイビングとダイビングの間に 1時間30分以上のインターバルをとっていればチェック
潜水後水分補給 減圧症予防を意識してダイビング後に水分補給(400ml以上)していればチェック
が多いほうがよい。数値はあくまで目安。  合計:


  安全停止
 ダイビングの終盤には、必ず安全停止をしなければいけません。たとえば空気ボンベを使用したスキューバダイビングにおいて、水深20m近くまでの潜水を30〜40分程度行った場合、水深3ー5mに少なくとも3分間安全停止をすることが勧められます。減圧スピード(浮上スピード)は、1分間に10ー18m以下というルールがありますが、さらに遅くしたほうが減圧症の発症率は低下します。たとえば、米国海軍が作成したダイビングテーブル(多くの指導団体が使用しているテーブル)と浮上スピードを厳守したとしても、減圧症の発症率は0.03ー1.5%あるので、安全率を高めるためには安全停止時間を十分とることが重要といえます。

  潜水後の低圧曝露(高所移動と航空機搭乗)について
 潜水後に低圧曝露すると減圧症の発症率が増加します。身体に溶解していた窒素が気泡化しやすいためです。民間航空機は与圧される機種であっても機内は0.8気圧(海抜0mを1気圧とすると標高約2,000mに匹敵)程度まで減圧されます。潜水後18時間以内は飛行機搭乗するべきではありません。
我が国では地形的特徴のため、ダイバーは潜水後、数時間のうちに山間部(標高400〜1,000m程度)を通って帰宅する傾向があります。伊豆の西海岸で潜水した後、東名高速道路(御殿場付近で標高454m)を通過して東京に帰宅するダイバーに減圧症が数多くみられます。通過する標高が高ければ高いほど減圧症を発症または悪化させる危険性が高くなります。

ダイビング後の高所移動ダイビング後の航空機搭乗

   

ダイバーのためのメディカルチェック
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